ふと見上げた先に現れた景色はワタシに、
ワタシは何をしたいんだろうと考えさせられた。
つづら折りに連なるは、雪に覆われたクルザスの地へと登る峠道。
フロランテル監視哨の塔を境に、黒衣森の木々はこの先に無く。これより先へは、ワタシと相棒のふたりだけで往く。
上がる道は長く重いだろう。風は冷たく強いだろう。翻弄されるだろうワタシ達の存在のなんと弱っちい事か。
でもワタシは冒険者。知らないから知りたい。
訪れたその土地を。その人々を。その現況を。その歴史を。
ワタシの目の前に差し出された全ての事を。
知って。楽しむ。
その為に。
ワタシの足で見知らぬ地へ至り、ワタシの目でその地の在り様を捉え、ワタシの心に世界の地図を創りあげてゆく。
──今これからも。